基本フレームワーク50
著者名: グロービス、嶋田毅
評価: ★★★★
こんな人におすすめ
- そのまんまですが、フレームワークを使って物事を考えたい方。かな
- 事業計画を作る指示を受けた方で、「自己流」で進めていくことに不安を感じている方。
フレームワークの数が多いという点が希少な本。そのうちの何割かは知っているよ、という中堅コンサルタントやMBA卒の方が自分の振り返りをしつつ流し読みするのもよいかもしれない。 案外「自己流」で使っている可能性もあるので。。
感想文
コンサルタントは「客観性」を重視される。
であるが故かわからないが、新卒コンサルタントに「自分の強みは何かあるか」と聞くと、「色に染まっていないので客観性高く考えられる」という声が多く挙がる。(といっても10年以上前の話なので最近は知らないが)
彼らは大きく勘違いをしている。 客観的に物事を考えるというのは、マインドセットの問題ではない。そういう意識で臨めばできるというわけではないということ。
まして、「無知」=「客観的」なはずもない。
客観性はスキルなのだ。
似たような勘違いはたくさんある気がする。顧客志向とか、当事者意識とかどうだろうか。いかにも「意識」の問題っぽい響きだが、果たしてどうか。
話を戻すと、フレームワークとはそもそも何のためにあるのか。
その一つが、”ともすると恣意的で偏った味方になりがちな思考を修正し、客観性を担保してくれる”というものだと思っている。
ここで一つ落とし穴がある。
『戦略は塗り絵ではない』
とは尊敬する先輩コンサルタントの名言であり、実感のこもった苦言だと思う。
フレームワークにそってその箱を埋めていくと、一仕事した感が生まれる。それをもって課題が見えたり、戦略が定義されたかのような勘違い。
フレームワークが客観性を担保してくれればくれるほど、そこに主体的な想いすなわち魂を入れるのは難しくなるのは必然か。
本来、実はほとんどのフレームワークは「コミュニケーションツール」とカテゴリー定義するとしっくりくるものが多い。塗り絵のわけがない。むしろ成果物に意味はなく、作成工程のコミュニケーションに意味がある。
本に戻ると、フレームワークの使い方というか実践例については、内容に疑問がわくこともあった。それでもこれだけの数のフレームワークをシンプルにまとめているのは、本でもWebサイトでもないんじゃないかな。さすがグロービス。 せっかくならアップデートしていっていただきたい。