コンポーザブル経営―加速度的な成長を実現させるDX戦略
著者名: 桃谷 英樹
評価: ★★★3.5
こんな人におすすめ
- SAP導入など全社システム・経営改革に携わる経営企画、IT、あるいはコンサルタントの方
- SOAやBPMとも近い概念と思われるので、その辺の古い知識をアップデートしたい方
内容的には重要だが、やや難しい用語が多いので、経営に関するビジネス書を50冊くらいは読んだことがある方のほうが良いでしょう
感想文
内容的には、個人的になじみのあるところではBPMやSOAといった経営システムに近いかと思った。
少しだけネタバレになってしまうが、ビジネスプロセスを「コンポーネント」単位で着脱可能なものにしておく。それにより「コンポーネント」単位で最新の仕組みに入れ替えたり、外部化したりできる。
世界標準を起用していれば、短期間で、世界中のリソースを使って機能をアップデートできるということだ。 これがBPMやその技術的裏付けとしてのSOAと理解している。
本著はこの概念を大幅にアップデートするとともに、技術以外の仕組みも補足しようという取り組みと理解した。
とりわけ、この手の標準化、オープン化が苦手なことが多い本邦大企業経営においては、重要な概念が含まれているだろう。
惜しむらくは2点。
圧倒的にカタカナが多い内容になっていること。
所属企業のマーケティング目的が色濃く見えてしまっていること。
この2点がしかも重なってしまったがゆえに、タイトルそのものも含めて「新しい言葉」にこだわり過ぎてしまったのではないか。せめて「コンポーザブル」以外の言葉を極力平易な言葉でまとめていただけていたら、よりおすすめしやすかっただろうに。
それにしても筆者の博学っぷりになかなかに圧倒される。これだけ多様な事例を挙げているのはすごい。とても一人で書いているとは思えない。
なんにせよ、事例の量は説得力、再現性を高めますね。 もしドラくらいの気概で、平易にアップデートされた次回作を期待したい。