サイゼリヤ元社長が教える 年間客数2億人の経営術
著者名: 堀埜一成 (著) 評価: ★★★★★
こんな人におすすめ
個人的にはビジョナリーカンパニーからの流れで、その実践編として楽しめた。
ロープライスエブリデイが海外事例・創業者事例ならば、本著は日本事例・創業者から引き継いだ次世代経営者事例である。
エクセレントカンパニー云々はおいておいて、飲食事業の読み物としても秀逸。面白いし。ただ流れている根底のものは面白いで終わらせるにはもったいなく示唆的であり、飲食業に閉じない示唆と思う。
感想文
サイゼリヤ創業者の方はずーっとサイゼリヤを食べ続けているらしい。そんな記事を新聞で見てピンときて購読。
創業者の方のエピソードからはロープライスエブリデイのサム・ウォルトンと同じものを感じる。安くて大衆化されていて利益も潤沢に出ているのだが、それは結果であって目的ではない。とにかく安くて良いものを日常として提供していきたいという「信念」の経営であろう。
そして実に緻密な楠木先生の言うところの「経営戦略のストーリー」ができている。
随所にそんなことを感じさせる内容でありながら、本著はこのカリスマ経営者を引き継いだサラリーマン社長の本である。
ここまでの成長を「奇跡の経営」と敢えて必然性のないものと言い切り、自分の役割を奇跡の継続と置く。もはやそれは奇跡ではないのだろうが、サラリーマン社長(失礼か)の気概と、これまでのリーダーへのリスペクトを感じる。
それにしても惜しげもなく開陳するノウハウ。圧倒的な自信なのだろうが。