会社という迷宮 ~経営者の眠れぬ夜のために
著者名: 石井光太郎
評価: ★★★★★
こんな人におすすめ
- 経営層の方へ 株主や株価を意識するようになるも、なんともとらえどころがない。見えない何かに追いかけられ、逆に追いかけてもまったく届かない。翻弄されている気にさえなってくる。そんな時にぜひ。
- 投資家の方へ 投資家じゃないのでわかりませんが、ぜひ。
- ビジョナリーカンパニー読み終わっている方へ。 勝手に3部作とするならこれに『ロープライスエブリデイ』を加えたい。ぜひこの三冊を。
感想文
経済学部に在籍していた学生時代、宿題を友人の家でやっていた。
その友人の父上はとある企業の経営者の方だったのだが、宿題をやっていると言ったら一言聞かれた。
「経済とは何か?」
当たり前に自分自身が使っている言葉を、改めて問われるのはほんとキツイ。 たいていは、聞かれた時点でもうだめだ。降参。考えることすらできていない。
あとは、とはいえ日頃自分で口にしているだけに「降参」ということの恥ずかしさ、悔しさとの戦いだ。
会社とは何か、戦略とは何か、企業価値とは何か、、、知ったつもりになっている、知らなくてはならない言葉をズバズバ問われる。
経営コンサルタントにありがちな「そもそも」というワードを、しかし実に品の良い表現で問いかけてくる。 内容とともに、筆者の経営者に対する愛情とそもそもの人間性に脱帽。
一度始まった恥ずかしさとの戦いには絶対勝てない。もう負けているから。
こういう時唯一の手段は高らかに負けを宣言して笑い、相手の卓見を拝聴することだと思う。
そういう気分で読めば、実に心地よい敗北感を味わえる本だと思う。
会社本来のミッションに寄り添って経営していくことが本来の経営ではないか?という視点は『ビジョナリーカンパニー』にも通じるものがあると思った。
またこれを良い意味で猪突猛進でやりきったのがウォルマートであり『ロープライスエブリデイ』ではないか。
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