医療が日本の主力商品となる
著者名: 真野 俊樹 (著)
評価: ★★★(3.5)
こんな人におすすめ
医療・福祉などのビジネスに関わる方へ。 10年前に積ん読した本を今更読んでいる。しかし全く色あせている感じはしない。医療・ヘルスケアという非常に広いテーマを、これほどコンパクトに本質をついてまとめている書籍は今でもなかなかないのではないか。 とはいえ当然最新ではないので、もし類似のものでアップデートされている本があればそちらをお読みいただきたい。
感想文
前書きの「衣食住」から「医職住」という話題に感銘を受ける。
個人的には偶然の出会いからここ10年来医療・ヘルスケアの事業領域に携わってきたが、とてもありがたかった。社会的意義という意味で「パーパス」jなぞ持ち出す必要もなくやりがいのある事業領域であるとともに、まさしく今後の日本社会において誰もが無縁ではいられないことに理解を深めることができたのは幸運以外のなにものでもない。
一言でいえば、いろいろと破綻している。取り繕って10年延命してきた(見て見ぬふりをしてきた)のかもしれないが、
この本が全く色あせないほど、好転は見られないということだ。
少子高齢化により医療の担い手は破綻し、財政的にも破綻する。
悲しいことに医療が発展することで、高齢化は進み、高額医療は増え、破綻のスピードが上がってしまう。
医療は、人間という世界ほぼ共通の生物を扱う以上、本質的にグローバルビジネスだ。日本だけがその発展から逃れられることもなく、避けてもいけない。(ドラッグラグ等避けられつつあるのだが)
生成AI含むDXにより、より高度になるかもしれない。しかし省力化は追い付かないだろう。
縮小均衡はできないし、するべきでもない。しかし財政は破綻する。
となれば、医療を事業としてとらえ、発展させていくべしというのは全面的に賛成するし、それしか道もないのではないか。
本著に出てくる他国の話もとても興味深い。医療は上述の通りグローバルビジネスだと思っている。制度面と、物理的な制約からのローカルビジネスの側面ももちろんあるのだが。物理的な側面は必ず残るが、人が移動できる範囲ではローカルではない。そして制度が変わればローカルではいられなくなる。つまりチャンスがあると思う。