3分間コーチ
著者名: 伊藤守 (著) 評価: ★★★★
こんな人におすすめ
コーチングの重要性はわかっている。テクニックも本を読んでみた。だけどどう実践していいかわからない、と切実なリーダーの方へ。
あと本著の内容は実は奥深くて、働き方改革にも示唆があるんじゃないかと思う。リモートワークの推進、あるいは見直しを検討されている企画部門、総務部門の方にも是非。
『新 コーチングが人を活かす』と同じく、Amazon Prime会員読み放題の一冊となっています。そういう意味でもおすすめ
感想文
コーチングのテクニックというよりは、場づくりに焦点を当てた本。
コーチングは結局は実践でしか身に付かないスキルだと感じていて、その意味で「場づくり」こそ下手なスキル本を多読するより重要ではないか。
内容はものすごく難しいものではなく、むしろ明日からやるべきことが詰まっている。短時間で読めるので、ぜひご一読いただきたい。
さて思うこと。
本著は2008年刊行である。当然コロナ前。ZoomもSlackもない。よほど「働き方」が先進的な企業で、掲示板的なコミュニケーションやSkypeミーティングがあったかどうかではないかな。
ほとんどの日本企業はオフィスは固定席で、課や係単位で机が並べられ、島の端にリーダーが座っているだろう。
下手すればプロジェクターもわずかな設置で、印刷・廃棄に追われていたかもしれない。
コロナを経て、あるいはそれ以前から、このオフィス環境は激変している。よく言えば、無駄のない働き方になっているはずだ。
が、常々失われたものの大きさも気になっていた。
最たるものはタバコ部屋。功罪あるのだろうが、いまだにあの空間を超えるオープンイノベーティブな空間ができていないのがほとんどの企業ではないか。
最近特に感じるのは、移動時間や会議間の雑談。「おはよう」もなく仕事が始まり、商談が終わって「どうだった」と聞かれることもなく淡々と仕事は進んでいく。
代わりに1on1と称する微妙な堅苦しさのテレカンで、部屋や家族の様子が見えるのを恐れながら会話をしている。
かろうじて飲み会は復活してきたが、「これは残業代付きますか」という質問が出る程度の希薄な関係性。
これでいいのか。1on1の改善だけでいいのか。
本著を読んで、それではダメなことだけは改めて理解した。
我々は自ら、3分間コーチできていた環境を切り崩してしまったのではないか。
たばこ部屋を作ろうとは思わない。オンラインミーティングでよいものもたくさんあるだろう。ただ、もうひと工夫もふた工夫もしないと。
出社しないと解雇するような強いリーダーシップを持ったベンチャー企業、働き方改革虫の新興国企業には勝てない。