トップセールスの段取り仕事術
著者名: 小森康充
評価: ★★★★
こんな人におすすめ
- セールスチームに配属になった方
- セールスチームが管掌になったマネージャ
着任したらなるべく早く読んでおいて、1年くらいしたらもう一回読むと身に付きそう
感想文
マーケティングではなくセールスカテゴリーですが、悪しからず。
積ん読しておいた本で、いつ、どんなきっかけで購入したかも記憶にない。ただ感想文書くまで10年前執筆とは気づかなかった。
セールスパーソンの基本行動は、本質的には何も変わっていないのだろうなと強く感じる。
自分はセールスは苦手。むしろセールスがやりたくなくてコンサルタントになった。
そこからベンチャー企業に転職して、やむなくセールス職に就いた。中学の時に野球をやったのと同じくらいの気持ち「苦手なことも経験しないと」という感覚。
苦手なことに何ら変わりはないが、学生の時に浅はかに考えていたような職種ではないことはわかった。はるかに難しく、はるかに楽しく、そして何よりはるかに重要なミッションであった。
世界はマーケティングでできている、と同じくらい企業活動は営業で始まり、営業で創られている。ベンチャーのような商品力や企業ブランドが弱ければ益々だし、経験はないが商品力がいくらすごくても営業が弱い会社は中期的に生きていけないだろう。
そのセールスの極意を筆者は説いている。この本の内容をマスターすればトップセールスになれるという。
率直に、その割には内容は常識的である。大変失礼ながら考えれば思いつきそうな。
しかし、本のどこかにも書いてあったが、多くの人はわかっててもやらないか、そもそも考えないのだ。 新卒の自分を思い出せばその理由は簡単なように思う。好きじゃないからじゃないか。
これだけ重要でありながら、いや重要だからこそ、「売ってこい」と言われてやらされ仕事になりがちな、それがセールスの宿命な気がする。
かつ、言い訳しやすい。なぜならセールスが持つ顧客接点の生々しい情報はセールスにしか持っていないことが多いから。社内でも情報の非対称性があり、その頂点に立っている。
もちろん、昨今のセールスマネジメント技法やセールスフォースツールは進化しているので、そんな簡単に逃れられないかもしれない。でもますます「やらされ仕事」になる。
セールス部門のマネージャにとって一番重要なことは、セールスという役割の大切さを本人及び全社に説き、その布教活動活動を通じて誇りを抱かせることにあるような気がしてならない。
その時、この本に書かれている一見テクニックのような内容は、きわめて本質的なコンピテンシーであることに気づく。いや、セールスに限らずすべてのビジネスパーソンにとって有益な「仕事の段取り」そのものであるのではないか。