ヒルビリー・エレジー
著者名: J・D・ヴァンス (著), 関根 光宏 (翻訳), 山田 文 (翻訳)
評価: ★★★
こんな人におすすめ
- アメリカの大統領選の理解度を高め、またアメリカの「多様性」を理解したい方。
- もしトラ成立時の副大統領を知っておいても損はないかなという方。ちょっとミーハーな方。(私)
- アメリカに限らず、貧困に関する社会問題に向き合って、何か取り組みたい方。
感想文
トランプ氏の指名した副大統領候補ヴァンスしの著書。自伝ですね。
といっても書いたのは2016年で、政界進出しているわけではない。知名度もそこまでではなかったんじゃないかと思うが、なぜこの自伝がベストセラーになるのか。
役者のあとがきが秀逸だった。これが2017年に書かれたものとは思えない。
2016年当時の大統領選でのトランプ氏の躍進~大統領就任直後の状況までを、本著を踏まえて解説している。
個人的には本文より価値があるというか、日本人にもわかりやすくて良い解説だった。
思うこと。
さすがアメリカというか、「多様性」の次元が違う。日本はなんだかんだ民族的多様性や、宗教的多様性(対立)は薄い。
多様性→対立があるが、それが多層化されている。多層構造であるがゆえに、ある側面では対立する考えの持ち主が、ある側面では同意するのか。よって完全には分断にならず、揺蕩っているというか。
州単位の独立性の強さも含めて、絶妙な政治制度なんだろうなぁ。
地縁・血縁、についても考えさせられる。
個人主義と思われがちなアメリカにおいて、マフィアのような家族観は矛盾しない。
ムラ社会。それが貧困、格差の原因にもなっていて、負のスパイラルにもなってしまっているような。
日本の格差の広がり、地域社会の危機も、同じスパイラルに入りつつあるのか。それとも民族性とも思われる勤勉さ、それを支える教育機会の担保をもって、別の形になるのか。それとも単に東京育ちでわからないだけで、すでにスパイラルに陥っているのか。