アート思考のものづくり
著者名: 延岡健太郎
評価: ★★★★★
こんな人におすすめ
『知識創造企業』の感想と同じく、
- デザイン思考にのめりこんだ人。さらに幅を広げるものとして。
- デザイン思考のアメリカ臭さがなんとなく鼻についた人。日本もすごいのよ、と思えるものとして。
書籍として読みやすさと、読後感の気持ちよさを評価して本著を★5としているが、★4の『デザイン思考が世界を変える』『知識創造企業』との3部作的にすべておすすめしたい。 企画、マーケティング、クリエイティブな仕事で戦っていく上で、外せない思考法ではないか。
感想文
前回の続き。引き続き「デザイン思考」をきっかけにした、現代のビジネスパーソンに必須のものの考え方を学んでいきたい。
で、いきなり脱線だが、こちらも前回の続き。 IBMのThinkの話を触れたが、こちらのブログに丁寧だった。
2007-07-30 (hatenablog.com)
Step6以降は知らなかったなぁ。階段には書いてなかったと思う。 (脱線の脱線だが、上記ブログに、たぶん私が探していたIBMのリンクがあった。だがリンク切れになってしまっていた。やっぱりIBMさん消しちゃったのか)
最後はLoveってのはありえそうだ。ますます奥深い。
脱線から元に戻ろう。そう、最後はLoveみたいな話なんだと思う。名著『北斗の拳』でもそういう話だった。
冗談ではない。『知識創造企業』でも「信念」が語られていた。本著はより鮮明にその重要性が訴えられている。 デザイン思考でなんとなく腹落ちしきれないというか、もやっとするのはここかなと。
だからと言って決して、信念や愛情を個人に属するものとして終わりにはしていない。むしろ何とかして組織知にしようという取り組みにフォーカスしているといえる。それがアート思考のものづくりということだ。
一方で、出てくる手法自体はデザイン思考と同じ手法もあるのも面白い。加えるならデザイン思考以上に「経営」に迫っている感じがあるが。ツール、思考法を超えて、経営者がすべきことや組織設計の重要性が説かれているような。
『知識創造企業』と同様に、論拠は不十分だし、実践手法としても磨きこまれていないとも思った。その点は『デザイン思考』がだいぶ突出しているし、普及している理由でもあるのだろう。
むしろ本著自体はプロジェクトX的な面白さだ。その成功例が他社でも、未来でも、通用する保証はないし、一方で普遍的な面白さを持っている。琴線がかき鳴らされる。
おまけ:信念のものづくりの物語『光る壁画』と表紙が似ている。